元ノワールだった兵五郎の最後の晩餐という
課題に表の料理人達の不合格が続出する中
創真は一人怒りの表情を見せていました。

その続きです。

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食戟のソーマのネタバレ感想285話。286話の予想。創真の料理ネームは微妙だ…。

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創真は呟きます。

「最後の晩餐だぁ……?
気にくわねーなぁ……!!」

ノワールの男はその様子を見て
困惑しました。

( えっと…!?

表の料理人に不利なお題…
に怒ってる訳じゃなさそう…?

え!?何に怒ってるのボウヤ )

兵五郎は審査を続けています。

「次ぃ!」

「次じゃ!!」

次々に料理人に不合格を
言い渡します。

創真は調理台に向いました。

「見てろよ…あのじーさん。

俺のこの料理で
横っ面ひっぱたいて
やるぜ…!」

コンロにボッと火をつけます。

陣幕の中で兵五郎が
職員に言いました。

「まったく…

“表”の連中はどいつもこいつも
腑抜けじゃのう。

手ぬるい品ばかり
出しおってからに。」

「……まぁまだ審査は
全体の半分ほどです。

引き続き判定よろしく
お願いしますよ。」

兵五郎はうなずきました。

「ふんふん…そうかいそうかい……。

…そうあれは敵の鉄砲玉の
襲撃を受けた時じゃった。

銃弾がわしの腕を貫通
していってのぅ。

その傷が見たいんじゃな?
ホレここじゃよ。」

「い、いえ…
そんなこと言ってません…。」

― 一見老いてはいるが…

この男の味への眼力は
今もなお健在だ。

西関東に本部を置く
指定暴力団 英集組!

その先々代・先代・
そして当代組長の
三代にわたって

専属料理人を任されて
いたのがこのご老人なのだ。

組傘下の人間だけに限らず
時に外部組織との会食でも
料理を出してきた。

もし失礼でもあれば
組全体の沽券に関わるどころか

抗争の火種に発展することも
ありえる。

その緊張状態で数十年…
調理場に立ち続けてきた実績は

“表”の星付きシェフを
凌駕するものだろう――…! ―

兵五郎はにいっと笑いました。

「まぁ…今宵は元々”裏”の品々にだけ
期待してやって来たのでな。

常にぬるま湯におるような連中に
わしを満足させられるとは思えん。

現に結果が証明しておる。

やはり”表”の料理人は
取るに足らぬ者ばかりの
ようじゃの!」

背後から怒った創真が言いました。

「もっぺん言ってみろよ
じーさんよう。」

職員がビクウッと跳ね上がります。

「!!」

心臓をバクバクさせました。

「な……何だ!?君は!
いつのまに

り、料理のサーブ時以外の
入幕は認められない!

さぁ出て行きなさ…」

創真は兵五郎に詰め寄ります。

「”表”をナメきるのは
まだ早いってことを

俺のガツンとインパクトある品で
教えてやりますからね!」

ビクともしない創真に
職員が驚きます。

「ちょ……力…つよ…っ」

創真は車椅子に座る兵五郎を
じ~…と見つめました。

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職員が怒鳴ります。

「さ、さぁ!退出しなさい。
まったく何を考えてる。

審査員の心証を損なって
悪い方向に判定されるとか
考えないのかっ」

「あーそれは大丈夫っすよ。

このじーさんは絶対そんなマネ
出来ねーんで。」

垂れ幕を開いて創真は出て行きました。

「……」

兵五郎は黙って見送ります。

創真が調理に取り掛かりました。
手際よく作業を進めます。

『 次の挑戦者!中へ! 』

アナウンスに促されると創真が
料理を兵五郎の前へ運びました。

ノワールの男がちらっ…と
たれ幕を開いて中を覗きます。

( さぁてさて…
あのボウヤはどんな品を…? )

― えぇ…!? ―

ちょこん…っと料理がテーブルに
置かれていました。

― も……もなか……!!? ―

職員も拍子抜けします。

― な…なにかインパクトある
豪快な料理を出しそうな
様子だったのに

こ…これがその品か? ―

( 意外というか…何というか…… )

兵五郎が創真に聞きました。

「……小僧。

もしや…わしのような
老人相手には

お茶請けの和菓子でも
出しておけばいいという
事ではないじゃろうな?

老いさらばえたとはいえ…

お前を締め落とすくらいの
腕力は残っておる。」

ゴゴゴゴ…と創真を睨みました。

「これが侮辱ならば
その報いを受ける覚悟は
あるんじゃろうな……?」

創真が明るく答えます。

「お~お~その元気がありゃ
俺のメシばっちり食えるっすねっ。

おあがりよ。」

兵五郎は少し沈黙するとモナカを
一つ手に取りもぐっと食べました。

目を見開きます。

ムキキ…と血管が浮き上がり
腕の筋肉がバキーン…と盛り上がります。

― な…何じゃ――――!?

全身の細胞が…
血が…
筋肉が……!

奮い立ち躍動していく
ようじゃ――――ッ!!! ―

覗き見しているノワールの男も
職員も驚きました。

― !?

あのヨボヨボだった老人に
精気が満ちてく!? ―

― この品は…一体……!? ―

兵五郎は動揺しながらモナカを
味わいます。

「とてつもないコク…そして
響き渡る酸味と辛味!

これは…甘い和菓子ではない…!

あん肝!!

アンコウの肝じゃ!!」

創真が言います。

「その通り!
こいつは俺特製の…

名付けて『あんきもなか』っす!!!」

くわっと目を見開きました。

職員は困惑しました。

「し、しかし…食材トレーラーには
もなか生地などなかったはず!

一体どうやってもなかなど…!?」

「”白玉粉”・”コーンスターチ”さえあれば…

こういう型を重ねて焼くことで
即席のサクサク生地が出来るんで!

けっこうムズくて神経
使うんすけどねっ。」

じゃんっと銀カップを
取り出しました。

「で…中身の方はまずあん肝から
スジ・血管を取り…

塩を振って
臭みを抜いたら

鰹出汁・酒・醤油・砂糖で作った
煮汁でぐつぐつ煮込みます。

なめらかに裏ごししたら
手作りの七味唐辛子を混ぜて

もなか生地で挟みこめば
完成っす!」

兵五郎はサクサク食べ続けます。

「………!!」

― 美味い……!
軽いもなか生地と
ねっとりした裏ごしあん肝…!

粗く叩き砕いた山芋が
すばらしい食感を
生み出しておる。

そして味わいもすばらしい…!!

口の中をビリッと刺激しながら
広がりよるわい…。

出汁のうま味・醤油の塩味が
最適なバランスに見極められ

手作り七味の酸味と辛味が
より強く尖る! ―

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「しかも…それだけではない……!!

何故じゃ!?

食欲が…内からドンドン
湧き上がる。

次の品が欲しくて欲しくて
たまらなくなってくるぞ~~~!!

こ…この品は一体…!?
何だというんじゃ~~~!!?」

創真はニィと笑いました。

「この品は…食事処ゆきひら
裏メニューその44。

常連さん限定の
“お通し”なんす。」

覗き見するノワールが
記憶をたどります。

( オトオシ…?ってーと確か…

日本の居酒屋で最初の注文時に
出される品…だったか。

コースの前菜のように…
客の食欲を開かせるための
料理――― )

創真はずいっ…とテーブルに
手をつきます。

「最後の晩餐って何すか?

何すか?
「最後」って!

“裏”だろうと”表”だろうと
関係なくすべての料理人に
とって

料理ってのはどこまでも広がる
荒野みたいなもんでしょ!

探求は無限に続けられるんすよ。

たとえもうじーさんに
自分で料理する体力は
ないとしても

そんだけ立派な歯が残ってんだから
まだまだ色んな品を味わい尽くせる
じゃないすか!

なのにまるで明日死ぬのが
わかってるみたいによー!」

口を手でいっと広げると
ふー…と息をついて続けます。

「でまもぁ…そりゃ人間
いつかは死ぬわけだし?

こりゃいよいよダメだなって
なったそん時は

うちの店に来てくださいよ。」

兵五郎が俯いた顔を上げました。

「そん時俺が出させて
もらう品だけが

あんたへの”最後の晩餐”っす。

この品は…それに繋がる
“さいしょの一皿”っすね。」

兵五郎は病院のベッドで組長と交わした
会話を思い返しました。

” そうか…もう調理台に立ち続けるのは…
無理になっちまったか ”

” へぇ…
すいやせん当代様――… ”

” 今までお前は本当に組のために
尽くしてくれた。

入院後の世話は俺らが
全部やってやる。

もう仕事のことは忘れて
長生きしろよ。”

” いえ……当代様……

自分の人生には…
料理しかなかったんです。

料理ができなきゃもう

何も残らんのですよ…… ”

兵五郎が創真に言いました。

「……わかった…。

本当に死期を悟ったその時は
ぜひ君の店に晩餐を依頼しよう。」

― いい料理人じゃ ―

後ろから取り出した拳銃を
ぽんっと打ちました。

国旗や紙吹雪と共に
“合格”の紙が飛び出します。

「第一の門くぐってよし!」

「!!」

創真が驚きます。

「お……御粗末っ!」

兵五郎は微笑むと再び
背後に手を回しました。

ふぃ~と合格の紙を手に持ち
国旗と紙吹雪を払う創真を
ノワールの男が見ていました。

― あのボウヤ…
気付いちゃいないん
だろうねぇ。

あの老人は懐にピストルを…
“もう一丁”呑んでたんでさ。

実弾入り…
本物のリボルバー拳銃をね……! ―

兵五郎は拳銃を握ります。

― わしはこのBLUEという晴れ舞台に
関われたのを最後に

自分の命を断つつもりじゃった。

料理の出来ぬ身体で
生き長らえる意味はないと
思っておった…。

……だが ―

( こちらのピストルを使うのは
当分無しじゃ )

空の星を見上げました。

― そうじゃな…
まだわしももうしばらく

無限の荒野をさまよう事に
するかのう……!

あの料理人に
教えられたわい!! ―

創真は周囲をキョロショロ見回しました。

「お……おっし!
なんとかクリアできた
みてーだな。

えーと?
タクミと田所はどーなった!?

第二の門もやってやるぜ
おら―――!」

アンが特等執行官に報告します。

「第一の門…幸平創真も
突破したとのことです。」

「通りよったか…
定食屋の倅がのう。

わからぬものだ…
しかし次の試練で露わに
なるであろう…。

彼奴の料理人としての真価…
本当の価値がな…。」

御簾の中で特等執行官は
笑いました。

今週はここまでです。

創真のネーミングセンスが
イケてるのか微妙ですなぁ。

あんきもモナカもあんきモナカも
そんなに違わない…。

でも最後の晩餐に続く”お通し”って
いうのはいいですね。

お通しっていうのが日本文化なのか
海外にもあるのかわかりませんが。

もなか生地は創真がムズくて
神経使うっていうのなら
相当技術がいるって事ですね!

美味しそうでしたけど。

タクミと田所はまだ
合格してないのかな?

しかし兵五郎さん
一体何食食べなきゃ
いけないんだろう。

全部完食してる訳じゃ
ないかもしれませんが。

だってそんな事になったら
もう!胃が!

ここから来週の286話の予想です。

タクミと田所の料理も追うのか
このままサクッと第二の試練に
行くのか…。

この先の試練も結構
ノワール寄りの試練
なのかなぁ。

御簾の奥にいる特等執行官は
結構若い気がします。

まだシルエットしか
わかんないけど。

女か男かも不明ですね。

しかしワールドな試合の
ハズなんだけどトップの
喋り方まで雅やかだ!

シード権で先に行った
料理人も多数いると
思うのですが。

元十傑の人達はいないのかなぁ。

そこ、結構期待してるのですが。

司とか四宮さんとか…。
いないんですかね…。

そういえばえりなは…!
どこに!?

もう第三の門で朝陽と
対決中って事もあるのかな?

来週も楽しみです。

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というわけですが、最後までお読み頂いてありがとうございました!

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