金魚妻3巻のネタバレと感想。4巻の予想。~仕事に趣味に、ひねった舞台がポイントです~

日常のふとした瞬間に不倫に引き込まれていく女性達をオムニバス形式で描いた人気連載作品の本作も三巻目となりました。では早速みていきましょう。

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○風水妻 ネタバレ

今回の主人公の女性は、風水に凝る30歳の女性。

風水を忠実に実践するおかげで、なんと憧れの漫画家に会えた上、成り行きで風水勉強仲間の旦那さんの知り合いの漫画家のアシスタントをすることに。

途中、恋人との電話に出る漫画家のめぐみ先生(男性)でしたが、
遠距離の彼女と一緒に過ごせるように、売れるようにと工夫した数々の挑戦を
「前の方が良かったな」とバッサリ切り捨てられ、しょげている中で、なぐさめてくれる主人公を求めてしまうのでした。

一方、主人公もめぐみ先生の目線で恋人の会話を聞く内に、夫に向けて放った自分の言葉を振り返り、反省します。

二日掛けて風水に沿って大車輪で家を片付け、インテリアを変えた結果、めぐみ先生は漫画作家としてどんどん売れるようになり、主人公も入院中の夫が退院、再就職します。

これで円満に解決!?と思いきや、めぐみ先生の部屋は不倫と縁ができやすい風水の位置。二人の関係は一度限りの不倫で終わらないのでしょうか・・?

○登山妻 ネタバレ

スワッピングをする二組の夫婦の物語です。

夫との関係に悩む妻の発案で、他のパートナーの奥さんを交えた3Pを行った結果、相手の奥さんと夫が惹かれ合うようになります。

ある日、「自分の夫とあなたの奥さんが出て行ってしまった」と話し、一緒に山に登ってくれるよう、相手の夫に頼む主人公。実はこれは真っ赤な嘘。

本当は、相手のパートナーも夫の登山の趣味が受け入れられていないことを知り、これを機に誘ってみたのです。

初めはつんけんしている夫でしたが、登山を通じてぽつりぽつりと話される主人公の複雑な思いや背景に次第に共感し、結ばれます。

ラストでは10年後?の二人の子どものやりとりが映されます。写真に飾ってあるのは、年を経た主人公と相手の夫の楽しそうな山でのツーショットでした。

○出前妻パート2 ネタバレ

1巻に収録されている「出前妻」の第二作です。
そば屋に嫁入りした主人公は、誰よりも働いて店を盛り立てているのに、頻回に来る旦那の元彼女の女性ばかりを周りがちやほやし、居場所がありません。

一人知らない土地に嫁入りしたこともあり、相談する相手も安らげる場所もない中、出前のお得意先である五味田と関係をもつようになります。

今回の話では、義妹によって、そばや家族が彼女を立てているのはお客さんだからであること、元彼女の女性は男好きがたたって地元では評判が悪く、居場所がないことが明かされます。

続いて、夫と女性とのやりとりの中で、夫が主人公に惹かれる理由が姿形ではなく、自分一人で生きていける強さを求める行動力やたくましさにあることがわかります。

主人公は、実は家族から認められていたことを知って、嬉しいやらほっとするやら。

と、そんな中、不倫の行為が終わった直後を目撃された子どもとの再会により、彼女の不倫が夫にばれてしまいます。

ラストはなんと靴も服も隠された上、ホテルに監禁されてー!?
というところで終わります。

金魚妻3巻 感想

この巻に出てくる女性達も、どの話もだれでも経験するような、一つ一つは本当に小さな要素が積み重なって不倫につながるわけですが、今回はテーマが「風水」「登山」と一風変わったものが多かったですね。以下、感想です。

○風水妻

漫画家さんの仕事場風景がめっちゃリアルです。特にデジタル作画の様子は、漫画家さんだけにもはや生活感すら出てますね。

今風の洋服や挨拶なのに、意外と謙虚で親切な男性に、世話好きで責任感の強い主人公が心を許していくのも説得力がありました。

また、「風水のすすめにそって部屋を改善する女性」という、馴染みのない人には置いてきぼりになりやすいテーマにもかかわらず、「梁の下に置くのは圧迫感があるのでコーティング」「玄関を整頓」「水回りを清潔に」など、比較的受け入れやすいポイントも交えている。

主人公が風水に興味をもつきっかけを「今の自分を変えたい」という点を中心に丁寧に描いているところも、主人公の目線で話を読みやすくしています。

また「ここで金魚を飼うとさらに金運がアップしますよ」との主人公ふみさんの紹介で出てくるコマの金魚がさりげなく「金魚妻2」で出てくる「さくらピンポンパール」ですね。

こういう全然違う話まで微妙につながっているところも本当に芸が細かいです。

ラストに出てくる主人公を模したキャラクター「フーミン(ネーミングもまた秀逸です)」の幼い表情と際どい服装には、8歳上のふみさんに対するめぐみ先生の夢と憧れが感じられます。

ところでラストの「不倫を呼ぶ風水」、皆さんはどちらの家にあったものか分かりました?

○登山妻

仕事や収入に生活スタイル、価値観、趣味、身体の相性。全部完璧な人と結婚なんてできっこない。

途中でもっと相性の合う人に出会っても、変更なんて世間が認めない。

子どもがいるなら尚のこと。

だから、たいていの人は、趣味や価値観が合わなくても、どちらかがどちらかに合わせたり我慢したりして目をつぶります。

それなら、もし趣味や価値観だけは合う人と時間を共有することが許されたら?

趣味だけで言えば、別のパートナーの方が合っていた4人。初めは夫を取られて寂しそうなミホでしたが、ラストの写真では、初めの険悪なムードが嘘のように二人とも良い笑顔。

顔の笑いじわが、友里と夫の不倫で始まった関係であっても納得して楽しい年月を重ねてきたことを感じさせます。

子ども二人が受け入れている様子なのも良いですね。小さい時から一緒に預けられたりして育っているので、「4人全員が親」という感覚なのかもしれません。

テーマは不倫でしたが、こういう家族の形もありなのでは?と思わせる話でした。

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○出前妻

嫁である主人公を差し置いて、図々しく居座る元彼女の女性。予約があるのに「自分だけは特別扱いされるだろう」と、無理難題を要求します。

格下と見下している主人公に席を断られ、むっとして義妹を大声で呼ばわります。

女性の作者さんだけに、気が強い元彼女の意地悪な描写がリアルですね。「いるいるこういう人!」とつい自分のまわりの女性に置き換えて、読み進めてしまいます。

予想に反して義妹が主人公に味方して断ってくれるシーンでは、女性の表情にすっきりしたのは私だけではないはず(笑)。

嫁ぎ先で除け者にされていると感じたのは自分の思い違いだったことにホッとする一方、それは「夫への意趣返しと家族に認められない寂しさを埋める」という彼女なりの建前が崩れることも意味しているわけで。

「私の足場はぐらついてなどいなかったのに・・・私は 家族を 裏切った」
この罪悪感。取り返しのつかないことをしてしまった恐怖感。主人公の動揺がこちらまで伝わってきます。

「夫を」ではなく、「家族を」と表しているのが、受け入れてくれていた嫁ぎ先全体に対する罪悪感を表しているように感じられます。

話の中心にいた主人公にすら見えていなかった、家族の事情が分かった途端、がらりと話の印象が変わるのが見事です。

前作は「慣れない土地にやってきて、周りは四面楚歌の中けなげに働く中、お客さんに寂しさをつけいられる嫁」。

一方の今作は「『遠い土地からやってきた嫁をみんなで応援しながら切り盛りしている仲良しのそば屋一家』を裏切った嫁」。

また、前作では順風満帆で甘い汁だけを吸って生きているような描かれ方をしていた夫の元彼女も、今作では離婚歴や近所からの悪評など、必ずしも本人も幸せとは言えない人生を送っていることが分かり、考えさせられます。

衝撃のラストですが、夫はなんだかんだ主人公を許してしまうのではないでしょうか。

主人公も前にも似た経験があったと話していて意外と貞操がフレキシブルなようですし、ラストの電話で「しばらくお休みします」とけろっと言っているので、恐らくは元彼女もお目にかからなかったであろう、独占欲と嫉妬剥き出しの旦那さんにどっぷり愛されて監禁される状況を案外楽しんじゃないかと思います。

金魚妻4巻予想

さて、次巻はどんな話になるのでしょう。
1巻、2巻と表題作の「金魚妻」の話が出ているので、そろそろまた続編が来る可能性はありますね。

これまで回収されていない伏線として、一番有力なものは店長の過去でしょうか。

「君も金魚を飼ってみると良い」と第一回ではラストで(元)夫に勧めていますが、過去に他にも「金魚を飼って」いたのだとしたら、その頃の話や「過去の金魚」もスピンオフででてくるのでしょうか。

奥さんに逃げられてしまったことを匂わせる発言もしているので、昔の家族の話が来る可能性もありますね。

もう一つはさくらの家族ですね。

前回父母の素顔が明かされる中、さくらの兄だけは顔が出てきていないので、今後登場することも考えられます。シスコンなお兄さんとのことなので、さくらとの絡みが楽しみです。

それ以外だと、続編が考えられそうなのは「見舞妻」「頭痛妻」あたりでしょうか。

個人的には本人以外全員が「不倫でない」ことを知っている「頭痛妻」の設定が面白かったので、続編で記憶喪失に主人公が気づく話とか出ないかなと期待しています。

というわけですが、最後までお読み頂いてありがとうございました!

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