相次ぐ旅館の休業は「真夜中の料理人」と名乗る
外人が食戟で板長達を打ち負かした為でした。
乙鳴旅館で勝ち誇る外人に田所が意見します。
その続きです。
食戟のソーマのネタバレ感想268話。269話の予想。人は見かけによらない。
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アメリカ南部
メキシコ国境のほど近くの倉庫に
黒塗りの車が数台止まっています。
葉巻を手にしたスーツの中年男が
Tシャツにジーンズ姿の若い男と
向き合っていました。
スーツの男が言います。
「…以上が依頼内容だ。
この晩餐会には俺のファミリーの
命運がかかってる。
だから「真夜中の料理人」である
お前に依頼するんだ。」
胸元からズッ…と拳銃を覗かせました。
「もしも…わずかでも不手際があれば
お前の作った皿を食べて出席者達の
顔がわずかでも曇ったなら」
若い男のあごに銃を押し付けます。
「その場でお前は死ぬ。
それで良ければ契約書に署名を。
まぁ…署名せず家に帰る道など
すでにお前には無いわけだがな。」
若い男が口を開きました。
「勘違いするナ…。
オレが厨房に立つ時点で…
その会食の王は依頼主ではナイ。
シェフであるこのオレだ。
依頼主も出席者も!
王が与えて下さる皿にひれ伏す
奴隷に成り下がる。」
「うっ!?」
中年男の首筋にナイフが
当てられていました。
若い男が睨みつけます。
「王に盾突くことが
どれだけ罪深いか
…今ここで知っておくカ?」
手下たちが銃を構えました。
「貴様!!」
中年男が制します。
「やめろお前ら。」
冷や汗をかきながら言いました。
「噂に違わねぇ大した男だ…。
よし契約しよう。
お前に晩餐会を任せたい。
頼んだぜ…。
シェフ・”モナールカ”」
若い男は不敵な笑みを見せました。
場面は乙鳴旅館に変わります。
モナールカは田所を威圧的に
睨みました。
「……今アナタ
王様であるオレに…
意見したのデスカ…?」
田所はあわわっと慌てました。
「あ……っ!いえ…あのっ
お、おお思わず口に出て…っ
すみません。」
女将は田所を必死で止めます。
「ちょ…ちょっとあんた!
下手に刺激するんじゃないよ。
相手はマフィアだかヤクザだかを
相手に仕事してる恐ろしい料理人
なんだろ!?
関係ないあんたまで
割を食う事ないよ……!」
モナールカも笑いました。
「…その通りデース……。
悪いのは食戟で負けた
彼らなのですカラネ。
…はぁ―――それはそうと
風見の湯と御錦上山荘には
ガッカリで~す。
オレに負けたことで
料理人としての誇りが
へし折れて…
窓を閉め、失踪しちゃい
ましたデス。
未練たらしく調理器具だけは
大事に持ち去ってネ!
世が世ナラ百叩きの刑に
なるところデスネ~?」
ソーマは納得しました。
「なるほど…
それが湯けむり失踪事件の
真相かい。」
モナールカは包丁を握ります。
「まぁ多少失踪しようと
構わないデス。
失踪した分侵略すれば
オーケーデス…!
日本にはまだまだ山ほど
旅館あるダカラネ……。」
ゲスな笑い顔に乙鳴旅館の
板長と女将はゾッとしました。
「何て…野郎だ……!」
田所がおもむろにはらり…と
羽織りを脱ぎました。
シュル…と紐で浴衣の袖を
たすき掛けにします。
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キュッと蛇口を捻ると
水で手を洗いました。
モナールカは思わず聞きました。
「何してるのデス…?」
「あ、えっとですねぇ…
よかったら私の料理を
食べてみませんか?」
モナールカは目を見開きます。
「何ですッテ……?」
田所は女将に言いました。
「女将さん!
こちらの旅館で仕入れてる
食材を使わせて下さいっ。」
「……え?え?」
「この旅館だからこそ出せる”味”…
それをもう一度だけ
見てほしいんです。」
モナールカは笑います。
「このオレに勝負を挑む気ですカ?
「真夜中の料理人」である
このオレに……!?」
ソーマが田所に言いました。
「お――田所ぉ
何か手伝うか?」
「ううんっ大丈夫!」
板長は戸惑います。
「お…おいおい!
何を考えてんだあんたたち」
モナールカが声を張り上げます。
「いいデショウ!
食べてさしあげマス!」
田所を見下す笑みで指さしました。
「ただし…
オレを満足させること
出来なかったその時は
大和撫子!
スキルフルボーイ!
ふたりともオレの奴隷デ――ス!!!
オレの君臨する王国で
永遠にこき使ってさしあげマス!!」
田所は静かに微笑みました。
「…それで結構です。」
板長は動揺しました。
「お嬢ちゃんっ
何を馬鹿なことを…!」
田所は板長に言います。
「板長さん。
ひとつだけ約束して
くれますか?
この勝負…
もし私が勝てなかったら
私たちみんなあの人の言いなりに
なっちゃいますよねぇ。」
「だ、だからさっきから
それを言って…」
「でもそんな事になったとしても
絶対に宿は閉めたりしないで
下さいね。」
板長は驚きます。
田所は続けました。
「たとえ思い通りに
行かない事があっても…
それでもぜったい店は
開けなきゃいけないんです。」
その言葉にソーマも微笑みます。
田所は明るくガッツポーズしました。
「そうしないとこの宿を愛してくれてる
お客様が悲しんじゃいますからっ。」
板長も女将も言葉が出ません。
「……フフン。
ではオレは客室で
待たせてもらいマ~ス。
せいぜい頑張ること
ですネ――!!」
モナールカは吐き捨てるように笑うと
手を振り上げて出て行きました。
田所は冷蔵庫を開けました。
「さっ、まずは下拵えから!
わあっほんとに
どれも新鮮ですね~。」
女将はソーマに言いました。
「ちょ…ちょっとお兄さんは
手伝わなくて大丈夫なのかい!?
ただでさえ恐ろしい敵が相手なのに
あんな女の子ひとりで…」
ソーマはへら…と笑います。
「まぁまぁ…田所も大丈夫って
言ってることだし。
俺らはどっしりと
見守ってましょーよ。」
板長も心配します。
「ど…どうしてそんなこと
言えるんだ。
いったいあの子の料理の実力が
どの程度のものなのかは知らないが…」
ス…と田所が大根をまな板に置きます。
目に見えぬ速さで下拵えを終えると
次の食材を取りに行きました。
女将も板長も目を丸くします。
「……え?
いつの間に…皮むきを……?!」
田所はその後も次々と鮮やかな手際で
食材の下拵えをしていきます。
「え!?」
「え!!?」
「何だい、あの包丁捌き!?」
ソーマが説明します。
「えっとぉ……
田所は今、遠月の全校生徒のうち
十傑に入ってる料理人っすね。」
板長も女将も同時に叫びました。
『 は!!? 』
モナールカは客室で
お茶を飲んでいました。
― まったく…
あんな小娘に何が出来ると
いうのデショウ。
裏社会の権力者たちですら
従順に平伏し
厨房の王様として君臨し続け…
最高の皿を出し続けている
おのオレに
料理の何を教えようと
いうのですカネ? ―
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田所の声が襖の向こうから
聞こえてきました。
「失礼します―――。
大変お待たせしました。」
スッと襖を開けて現れた田所に
モナールカは「…フフン?」と
笑います。
「ひっとして…日本贔屓のオレに
和服姿で媚びてるつもりデスカ~~?
確かに非常に似合っていますガ……
そうはいきませんヨ大和撫子サン?」
着物に着替えた田所は笑います。
「えへへぇ…。
形から入ろうかなぁって思って
女将さんから借りて着てみたん
ですよぉ。
でも勿論媚びてなんて
ないですよ。
私たちはお互いに料理人。
語るのは…
あくまで皿の上でです。
お食事――
お出しします。」
モナールカは田所の用意した
料理を見て驚きました。
「こ……これは――…!!」
今週はここまでです。
マフィァまで出てきましたよ!
本当に真夜中の料理人って感じです。
でもモナールカさん
日本には普通に癒しを求めて
来てるのかな…。
だとしたら日頃かなりの
ストレスを抱えてますね!
求めてる「癒し」が相当ズレてる
とは思いますが!
都会の高級ホテルじゃ
ダメなんだろうか。
景色豊かな風景の中で
情緒を求めてるのかな…。
面倒!
ここから来週の269話の予想です。
田所のほわ~とした雰囲気で
あやふやな感じになりましたが
これは食戟なのかな?
モナールカさんが勝手に
勝負にしてしまったような…。
でも田所のように一見大人しそうな子に
ガツンとやられた方がダメージ大きそう!
今完全になめてると思いますから。
癒しの料理は田所の
真骨頂だと思うので。
モナールカさん、日頃ストレスMAXな
調理ばっかりしてるだろうから
田所に真に癒されて欲しいですね。
癒され過ぎると真夜中の世界で
やっていけなくなるかもしれませんが。
魂を抜かれて欲しいです。
モナールカって多分本名じゃ
ありませんよね。
来週が楽しみです。
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