4th BOUT第2カードのお題「野ウサギ」に
対し、一色は「椀物」を完成させました。
審査員の実食が始まります。
その続きです。
食戟のソーマのネタバレ感想249話。250話の予想。一色先輩の殺し文句!
一色の椀に口を付けた
審査員達が驚きます。
「こ……この味は―――っ!!!」
会場の生徒たちもキラキラ輝く
椀の出来栄えにざわめきます。
「あれが「超攻撃的和食」の使い手
一色慧が繰り出した椀物…!」
「各素材の色味や盛り付けの美しさ」
「まるで美術工芸!!」
「見てるだけで吸い寄せられちゃう……」
「あ…味はどうなんだ」
「いったいどれほどの美味しさなんだ!!?」
イストワールが冷や汗をかきます。
「ひと口汁を啜っただけで…
全身に衝撃が走った。
繊細な椀物を野ウサギと昆布で
仕上げるだけでも至難の技なのに…
“蛤”の出汁まで合わせている!!」
青山たちも驚きました。
「は……蛤ぃ!?」
「椀物の汁で貝にジビエを
合わせるなんて有りなのかぁ!?」
アンが興奮して解説します。
「椀物を構成する要素は4つです!」
― 【吸い地】…椀物のベースとなる汁
【吸い口】…香りのアクセント素材
【椀種】…メインの具
【椀妻】…椀種に添える具
ジビエと蛤の出汁を7:3で合わせる事で
吸い地に貝の塩味・まろ味が加わり
普通の一番出汁とは一味違う美味しさに!
吸い口の柚子も風味を
きりっと引き締めています。 ―
「彼は……今までに無かった
新機軸の和食出汁を創り出して
しまったのです!!」
水戸は拳を握りしめます。
「うぉおおおっこの大一番で
新しい出汁だと!?」
アリスも感心します。
「流石ね……!一色慧先輩♪」
シャルムはまた一口椀を啜りました。
― 香り→味へと繋がる
意表を突く展開。
和の領域へと我々を誘う――
妖艶なる演舞のようだ!! ―
審査員達は全員我に返りました。
「い…いつもでも余韻に浸ってる
場合じゃない。
次は具である【椀種・椀妻】の
審査に入らねば。」
「そ、そうだった!」
「何だろうこの椀種?
見た目は小さめのお餅のように
見えるけど…。」
田所がソーマに話しかけます。
「ど…どんな具を用意したのかな。
気になるね、創真くん。
?
創真くん…?」
「や……あの二人さっきから
何かしゃべってんなーと
思ってさ。」
ソーマは一色と紀ノ国に
視線を向けました。
興奮している会場の中、
戸惑う紀ノ国は一色に言いました。
「ど…どういう意味?一色。
私が居なかったら料理を
続けていたかどうかも
分からない…ですって?
わ、わけの分からない事を…
またそうやって私を
からかってるんでしょう!」
顔を背ける紀ノ国に、
一色が笑います。
「やれやれ…言葉どおりの
意味なのに刺々しいなぁ。
君はいつからそんなに
捻くれたんだい?
まぁアレだね…。
僕の何でも出来てしまう点が
幼少期の紀ノ国の心を傷つけた
部分はあったかもしれない…。
気の毒だよ。」
紀ノ国は逆上します。
「そういう所よ!!
腹立たしいのは!!」
一色は目を閉じました。
「でも本当に…
君は僕の恩人なんだ。
君が気付いて
いないだけでね。」
「――――…!?」
紀ノ国は訳が分かりません。
「じゃあ少しだけ…
僕の話をしようか。」
― 京都 祇園 一色家。
室町時代から続く割烹料理の名店…。
その長男として僕は生まれた。
もちろん物心ついた頃には
もう料理修業は始まっていた。
幸か不幸か…
教わった事は全て
さらりとこなせた。
端から見れば僕はこれ以上ないほど
優秀な後継者として映っただろう。
しかし僕の内面は
常に暗い影に
覆われていたんだ―― ―
幼い一色に大人達が威圧的な態度で
口々に言います。
『 慧、よく聞きや。
一色家に生まれた者には
「出来へん」ゆうことが
そもそも許されへんのや。 』
『 出来て当然…!
たったひとつ覚えた程度では
一々燥がんでよろし。 』
『 基礎技術の次元で喜んどったら
長子としての気位は育ちまへん。 』
『 はよ一人前になって貰わな
困んのはお家なんやえ。
調理場に戻りぃ。 』
暗く俯く過去の自分を
一色は思い返します。
「達成感はなく、一族の誰かから
賞賛される事もない。
来る日も来る日も
無味乾燥な気持ちで
修業をこなす。
その頃の僕はね、
料理というものが
何の為にあるのか
本気で分からなかったんだよ。」
シャルムは椀を見つめます。
(この椀種…ひょっとして中に
何か詰めてあるのかな?
とにかく割って―――…)
中心の椀種を箸でぐっと割ると
中から何かがじわっと出てきました。
「え」
イストワールが叫びます。
「こ……これは~~~!?
清らかなお澄ましが…
にごっていく―――!?」
アンも驚きます。
「このまろやかな匂い…
【味噌】です!
澄まし汁が一瞬で
【味噌汁】に化けて
しまいました!!」
反逆者チームも驚く中、
一色が解説します。
「お答えしましょう……。
その餅の中身は
【野ウサギ肉のミンチ】と【長ネギ】!
それらを【白味噌】でじっくりと
炊き上げた物です!」
― 餅粉と小麦粉を合わせて作った生地に
具を詰めて数分茹でて椀種としました。
ひとすすり目は澄まし汁の
透明感をしっかり味わってから
その後に野ウサギと味噌の
じんわり広がる風味も
楽しんで頂けるようにね! ―
「さぁお三方!
具を味わってからもう一度
汁をすすってみてください!」
シャルムは味噌入りの餅を
一口食べてみました。
「……っ!!」
じゅあああっと広がる味に
思わず目を閉じます。
アンも椀種を食べた後に
一口汁を啜ります。
― とてつもない旨さ…。
ウサギ肉のコクとピュアな汁を
白味噌が結びつけ
完璧に一つに
溶け合わせている――!! ―
アンは急いで図鑑をめくります。
「日本には…園芸等の構成に関する
独特な言い回しがありましたね。
確かえ~~~~と……
そう!
【 序・破・急 】でした」
※序破急…舞楽を三部構成で表現する形式で
「序」は拍子無し「破」でじわじわ
変化し「急」が速い拍子のクライマックスとなる。
― この品もたった一椀に
美味しさのテンポが
段階的に構築されて
さながら椀の中の日本舞踊!! ―
イストワールは椀をじっと見つめます。
(本来どんな品よりも繊細さが要求される
椀物という舞台すら遊びつくし
驚きで満ちた工夫を余念なく
凝らしぬく攻めの姿勢――!!)
紀ノ国が呟きます。
「一色……。」
一色は言います。
「――そんな風に…
料理というものに対して
何の喜びも感じ得なかった
僕はある時
ひとりの女の子と
出会ったんだ―――。」
― 一色家の仕来りにより
居候先で会ったその子は
確かに…僕に比べると
それほど器用な方じゃ
なかったかもしれない。
だが楽しさと喜びをもって
一歩一歩技術を
積み重ねていく横顔は
綺麗だった。
君の横顔を見たとき
初めて僕は
料理は楽しいのかも
しれないと思えたんだ。
誰かを味で楽しませる為に
技術を磨く喜び
それを一番最初に教えてくれた
料理人の名前は ―
「紀ノ国寧々。
僕は君を――――
尊敬している…!」
紀ノ国は目を見開いて
涙を浮かべます。
一色は続けます。
「だから紀ノ国…
思い出してほしいんだ。
僕が綺麗だと思った横顔の…
あの頃の…気持ちを――」
紀ノ国の目から涙がこぼれ落ちました。
イストワールは目を閉じます。
― 優雅かつ強烈な一品だった……。
まさしく「超攻撃的和食」!!
あの「食卓の白騎士」をも
翻弄する…
疾風怒涛の乱撃だ!!! ―
司の鎧を一色の扇が連打すると
鎧にビキィッとヒビが入りました。
今週はここまでです。
反逆者チームの料理は
味の二段構えなんですね!
一粒で二度美味しいみたいな…。
澄まし汁から味噌汁へって
すごい大胆発想だなぁ。
幼少期の一色家の話も
ついに解禁ですね。
しかしこの家、一色先輩みたいな
天才肌でも普通扱いですか!
じゃあ努力型の子だったら
さらに悲劇だったのでは…。
恐ろしい~。
仕来りとはいえ紀ノ国家に
居候出来たのは幸運だったんだなぁ。
「尊敬している」のセリフに
紀ノ国の気持ちも大分救われた
のではないでしょうか。
殺し文句!
ここから来週の250話の予想です。
今度は司先輩のターンですね。
やっぱり倒れてくれる
気がしない…。
ラスボス感が凄すぎて。
鎧にヒビは入ったけれども。
倒れてくれるといいなぁ!
司先輩もフランス料理から
外れることはないと思います。
どんな料理か想像できないけど!
でも十傑メンバーの料理は
王道で完璧ってイメージあります。
あんまり変則的な事は
しないというか…。
もしも4th BOUTで司一人が
勝ち残ったとしたら
一年生’s VS 司の図も有りかも。
まだ竜胆先輩がいるんだけど。
なにせ前回の料理が大分カット
されてしまっていたので実力が
よくわからない!
凄いんだという事しか!
来週も楽しみです。