4th BOUT第1カードは
薙切えりなの圧勝に終わりました。
続いて第2カード、一色VS司の対決開始です。
その続きです。
食戟のソーマのネタバレ感想248話。249話の予想。一色先輩の闇。
幼い紀ノ国は物陰からこっそり
三味線を弾く一色を見ていました。
― どうして
どうして
さとしくんばっかり
何もかも上手なんだろう。
どんな事だって
さらりとものにして
なんで私はこんなに
どんくさいんだろう。
ずるいよ。
さとしくん。
ずるい。 ―
場面は連帯食戟の会場に戻ります。
『 第2カードは一色先輩vs司瑛士―――!!
両名、調理はぐいぐいと
進んでいるようです―――! 』
反逆者チームは声援を送ります。
「くぉおお司…瑛士―――!!」
「一色先輩がんばってぇ……!!」
紀ノ国も黙って勝負を見ていました。
茜ケ久保がブッチーを抱えて言います。
「ふぅん…司の相手は
さとしゃんだってブッチー。
まぁ司が勝つのはほぼ確定だって
言い切れるけどね。」
斎藤がツッコみます。
「ほぼ確定?
先刻は95点と言い切った品に
負けておったようだが?」
茜ケ久保がイラッとしました。
「だから”ほぼ”って言ったでしょ…。」
ブッチーの手を使って斎藤を
ペシペシはたいて言いました。
「それに何しろテーマ食材は
【野ウサギ】だしね。」
ソーマがヤカンのお茶を湯呑に注ぎます。
「ウサギ肉かぁ…。
遠月の授業で初めて
触ったっけなー。
ありゃー確か【フランス料理】の
調理演習とかだったっけか。」
丸井が眼鏡を押さえます。
「そう…ウサギ肉は仏料理では
非常によく使われる素材で
調理法も体系化されている。
フレンチを得意としている
司先輩も当然料理し尽して
いるだろう。」
ソーマが感心します。
「ほほ―――マジか…。」
吉野が続けて言いました。
「逆に伝統的な和食では獣肉の
調理法ってそこまで無いんだよねー。
地方とかだと鹿や猪を狩って
お肉を食べる習慣は
昔からあったんだけど
食文化としては明治ごろまで
敬遠されてたからかもねぇ。」
ソーマはずず…と茶をすすりました。
「くそーマジか…。
やべーな。」
「さぁ…和食の使い手である
一色先輩はどんな料理を……?」
一色はお湯の中から昆布を取り出して
くんくん匂いをかぎます。
「……ふふっ、すばらしい具合だね!」
伊武埼と青木が言いました。
「ウサギ肉や野菜の下処理はもう済んで、
いま引いてるのは一番出汁か。」
「しかし十傑第一席と戦ってるってのに
いつもと同じで楽しげだなぁ。」
「たしかに!
寮でみんなのメシ作ってるのと
変わらない調子だぜ。」
紀ノ国は一色の調理する姿を
睨むように見ています。
「…おっと先に食器類を
取りに行っておこうかな。
ちょっと失礼しますよ先輩方。」
一色が十傑チームの脇を通ろうとすると
紀ノ国が背を向けたまま話しかけました。
「…どうしてそんなに
ニコニコと調理できるの。
勝てるわけないのよ…。
司先輩の力は知ってるでしょ。」
「そうかな?
勝負はやってみなくちゃ
分からないさ。
……それに
夢中になって楽しんでる
人間は無敵!
それが僕の人生の
モットーだからね。」
笑顔で答える一色に紀ノ国が
俯いて呟きました。
「……天才はいいわよね。」
― 凡人の気持ちなんて
分からないんだわ――… ―
吉野は思いつきました。
「そだ……一色先輩この勝負では
和食とは違う創作料理とかで
行くつもりかもしんないよね!」
青木と佐藤も同意します。
「おぉ確かに!
先輩はどんな料理ジャンルだって
プロ級だしな。」
「ウサギ肉を活かすメニューなら
いくらでも思い付いてるぜ、きっと!」
榊が一色を見つけました。
「あ!帰ってきたわよ。」
「取りに行った食器はどんなのだろ?」
吉野と榊は目が点になります。
一色がコト…と置いたのは【 椀 】でした。
「僕は「椀物」で行くよ。
素材の良さをたっぷり詰めた
【特製一色汁】さ!」
紀ノ国も反逆者チームも仰天します。
「わ……」
「椀物ぉ――――!!?」
ソーマは気楽に言います。
「お?どーした興奮して。
どんな品になるか、
そんな楽しみなのか?」
新戸が怒鳴りました。
「そうではない!
テーマ食材は【野ウサギ】…。
独特の臭みが特徴の”ジビエ”なのだ!!
それなのによりによって
和食トップクラスの繊細なメニューを
選んだだと―――!?」
イストワールも同意します。
― 彼らが驚くのも当然だ…。
椀物とは素材同士が持つ
ピュアな美味を器に盛り込む品…
そこには一切の濁りも
出てはならない!
他の料理であれば
旨味やコクとして
感じられる味も
椀物に於いては不要な
雑味と化す可能性が
一気に高まるのだ!
匂いが主張ししがちな
ジビエを椀にするなど
無謀中の無謀……!! ―
葉山がソーマに言いました。
「お前も熊肉扱ったんだ。
ジビエの難しさはわかるだろ。」
「お――!
あん時ゃ難儀した!
超苦労した!」
反逆者チームは焦りました。
「考え直せ一色パイセーン!!」
「あと一色汁とか言うな気持ち悪い!」
ソーマは余裕の笑顔です。
「けどよけどよぉ
一色先輩なんだぜ?
ぜってぇ何かやらかして
くれっだろー。」
一色は雪平鍋を火にかけました。
「さて勝負所はここからだよ。
先ほど引いた昆布出汁を
温めながら…
水気が飛ぶまで炒めた
野ウサギのガラを投入し
ジビエのうま味成分を
抽出していく。」
生徒たちは驚きました。
「え!!?
せっかくの精細な昆布出汁に!?」
「ジビエの臭みで昆布の風味が
死んじまうぞ!」
ガラを投入した鍋をボコボコと
加熱していきます。
「さぁ攻めるよ。
ぎりぎりまで。」
― 野ウサギが持つ風味を
ゆっくり浸みださせる。
余計な渋みや苦みは
決して起こさず
うま味だけを静かに
引き出す瞬間を……
見極める
此処だね ―
ざっと汁をこしました。
手早く椀種・椀妻を盛り付けて
熱い吸い地をゆっくりと張ります。
「完成です。
さぁ……召し上がれ。」
一色の椀が完成しました。
司が横目でその様子を見ます。
アンは蓋の閉まった椀を見つめました。
― 椀物の完成度は
蓋をとった瞬間に分かると言っても
過言ではない。
立ちのぼる香気の初撃によって
いかに人を引き込めるかどうか!
果たしてジビエによる椀物に
そのエナジーはあるのか!? ―
パカ…と蓋を開け、すん…と匂いを嗅いだとたん
うっとりしてうさぎの着ぐるみ姿になりました。
― ほっこりだピョン… ―
「本物です……!!
どこまでもピュアな香気。
まるで母なる者に抱かれている
かのような安らぎ……。」
反逆者チームは驚きました。
「えぇええ―――!!マジで!?」
「野ウサギの出汁は邪魔に
なってねぇのか!?」
イストワールとシャルムもうっとりします。
「昆布出汁のやさしくまろやかな
匂いが野ウサギのともすれば
尖り過ぎる香りと融合し……
荒々しさだけを取り去って
懐石料理として出しても
通用する純粋さを獲得している!」
紀ノ国も目を見開きます。
― 日本料理が有す究極の深奥である
“出汁”―――
その真髄を掴みながら…
ジビエにまで応用してしまった
というの!?
香りの初撃だけであの
執行官たちを魅了した……。
まさに超攻撃的和食…!!
これが…天才の所業…!
……それにしても
格式高き和食の名門…
伝統を何より重視する
[一色家]に生まれて
何故ここまで型破りな
調理ができるの―――? ―
一色が紀ノ国に笑顔で言います。
「そんな怖い顔で見なくても
いいじゃないか。
ほんとうに僕を目の敵に
してるんだね。」
「べ、別に…!」
「だって子供の時から
そうだったろ?
僕が出来ることは自分も出来なきゃ
すぐに半ベソかいちゃってさ」
昔の事を言われて紀ノ国は
赤面します。
一色はさらに続けました。
「思い出すなあ、事あるごとに
付き合わされたっけ。」
紀ノ国は赤面して怒鳴ります。
「そ……その事は関係ないでしょ
今は!!
もうわかったから止してよ!
才能の差を見せつけられる側の
身にもなってくれる!?
…いつもそうやって
要領わるくて教科書通りの
品しか作れない私のこと
馬鹿にして……!」
赤面して震えながらきゅっと
腕を握りしめる紀ノ国を
一色は真顔で見つめました。
審査員達が実食に入ります。
「さぁ……いよいよ味の審査だ。」
「味わう側も真剣勝負なのです!」
「一口目―――」
椀に口を付けてこく…と飲んだ
審査員達に衝撃が走りました。
「こ……この味は――――っ!!!」
一色が涙ぐむ紀ノ国に言いました。
「紀ノ国。
君は自分が積み上げた時間を
もっと褒めてあげるべきだよ。
だって君が居なければ僕は
料理を続けていたかどうかも
分からないんだから。」
今週はここまでです。
お題は野ウサギだったんですね。
野ウサギってどんな味
するんでしょう。
食べた事ない…。
野ウサギの椀物
特製一色汁って濃いな~。
一色先輩はあくまで
和食で攻めるんですね。
もっと時間をかけて描写されると
思ってたのにトントン拍子で
実食まで行っちゃうとは!
進み方が早いなー!
ただ一色先輩、家の事情は
結構複雑そうだ。
家の方針とは合わなそうですね…。
超攻撃的和食だし!
伝統重視よりも改革重視って事かな?
でもそのきっかけは
紀ノ国なのかも。
ここから来週の249話の予想です。
今までのパターンだと
先に実食が始まった方が
敗北してしまってたけど…。
一色先輩はどうなんだろうか…。
やはり…やな予感が~。
何とか今までのパターンを
覆してほしいなぁ!
紀ノ国と一色の関係は
来週少し変わるかな?
今までは紀ノ国視点の
一色との過去話が多かったですが。
来週は一色視点の過去話が
見られるんですね!
これ、楽しみです。
天才肌には天才肌の悩みがある
って事でしょうか。
一色が紀ノ国家に来た時には
結構実家でしんどい時だったのかも。
来週も楽しみです。