背すじをピン!と 最終回 ネタバレ 感想 86話 打ち切り
背筋をピン!とですが、今回の86話で最終回になります。
背を向けた小さなおかっぱの女の子のモノローグから始まります。
背すじをピン!と最終回 ネタバレ感想86話
女の子は競技ダンス部に群れをなす男子生徒を前に【どうして一人でここにきちゃったんだろう】と後悔していました。
自分よりも背の高い男子生徒たちの間からひょこひょこと中をうかがっていると、見覚えのある男の子が見えました。
ダンスに興味のないように見えるその男の子が、女の子は気になっていました。
烏合の衆と化している新入生たちに、当時の部長は言うのでした。
「あらあら なんとも まあ 大漁ねェ」
夏の全国大会当日、時刻は朝4:58。
女子部屋で亘理は一人目を覚ましました。
亘理が起きた気配で目を覚ました後輩が「もう朝でふか…?」と聞きますが、亘理は「まだ早いからもうちょっと寝てて大丈夫だよ」と声をかけて外に出ます。
三年生にとっては最後の引退試合となるこの日、亘理は普段よりずっと早くに目を覚ましてしまったようです。
入部したての、一年生のころの夢を見て。
自然と足が向いたのは、毎日土屋と自主練をした公園でした。
当時の事を思い出しながら、よく考えたら夜の公園は危なかったと亘理は少し反省していました。
同時に土屋が亘理のことを、すごく良く頑張るから見習わなくてはと言ってくれたことも思い出します。
土屋は純粋に亘理の頑張りを褒めていましたが、亘理からすればそれは必死だっただけだと言います。
ただ、初めての競技会で緊張しっぱなしで、不安で仕方なくて、じっとしていられなかったのだと。
亘理は土屋のほうこそすごい、と言います。
同年代の男の子で、あんなに純粋に人に敬意を示すことができる人は他にはいないと考えていました。
必死になっているとはいえ、それを努力に直接結びつけられるのはやっぱり亘理はすごいですね。
才能、とはよく言いますが、努力を続けることができることも一種天性の才能だと思います。
また、土屋も確かにすごいです。
高校生の男の子ってどうしても照れや意地が勝ってしまって、特に異性には素直に褒めたり敬意を示したりはできない人が多いですから……
他人の良いところを素直に良いと認め、口に出して伝えることのできることは土屋の美点ですね。
亘理が思考を巡らせているところに、早朝のランニング中だった土屋が通りかかります。
亘理と一緒に練習を重ねた公園を歩きながら、土屋は今日が終わると受験勉強がはじまってしまうと話します。
「もう終わった後の話」と笑う亘理……もっともです。
そんな亘理に部活をしていると勉強する時間がなくて「どこから始めていいかもわからないよ!」と熱弁する土屋。
亘理は『普通はコツコツやってるものなのでは…?』と困惑してしまいます。
相変わらず亘理の心の声は若干辛辣ですね。
しかし、正論です。ぐうの音も出ない。
目の前のことに一点集中してしまい、効率度外視の土屋について、亘理は【「このひと大丈夫なんだろうか」と思うところもある】と考えます。
会場に移動中、藤田が亘理に朝二人で出かけて何をしていたのか問います。
「散歩してただけだよ」という亘理に「そうだろうね!」と断言する藤田。
ここ2年間の二人の関係性が透けて見えるようですね。
そして2年ぶりに訪れた駒沢オリンピック公園。
昨年は千葉開催で一年生だけでなく二年生も会場に緊張しているようです。
「まーなんでも聞いてよ!俺ら三年生にとっちゃ勝手知ったる場所だからさ!」という土屋に後輩が「でた!土屋部長の調子こき!」と笑います。
そんな中、亘理は少し離れた場所に見慣れた後ろ姿を見つけます。
亘理の視線を追って、土屋も彼を見つけました。
「御木くーん!?」と土屋が駆け寄ると、御木は流暢なロシア語で土屋に話しかけます。
困惑している土屋に、ターニャがさっきの御木の言葉を通訳し、「キヨトそれじゃ二人わからない」と言います。
さらに「ごぶさたデス ワタリサン」と亘理と挨拶を交わすターニャ。
2年前とはすっかり逆ですね。
会場内では現スタンダード学生王者となった宮大工らがインタビューを受けていました。
淡々と、冷淡ともとれる答えをする宮大工の言葉を、柏が一生懸命フォローします。
「ライバルはどの組?」と言う質問に、最初特には居ませんといった宮大工でしたが、一組いると言葉を正しました。
2年間ロシアにダンス留学していた友人である御木、ずっとダンスを見ていなかったからどのような進化を遂げたのか楽しみだと話します。
それから、「競技会毎に驚かせてくれる小さな組(カップル)」……土屋・亘理組はライバルではないが注目していると話します。
その宮大工の物言いに、柏は「ライバルでいいじゃん」と苦笑するのでした。
藤田は大会スケジュールを眺めながら今回も午前にスタンダード、午後からラテンの構成だとスケジュールを通達します。
「ラテンに出るのは私と御門君だけ!」と話す藤田。
他は全員スタンダードだそうです。
また、御門は一年生の朝木ともペアを組んで、スタンダードにも挑戦するようです。
藤田はラテンに転向したんですね!
やはり八巻・椿ペアに感化されたのでしょうか。
亘理はガタガタと震える朝木に「御門くん悪い人じゃないから頼っていいんだからね」となだめます。
御門の勢いに朝木が気おされていると思ってのフォローでしたが、実は朝木は御門が怖いからではなく初めての競技会が全国大会で緊張していたのでした。
藤田も全国大会がデビュー戦で緊張したと頷きます。
藤田は途中でカップルも変わっているし、この2年で一番ダンスと強く向き合わざるを得なかったのではないでしょうか。
ダンスは定型があっても、やはりその人の「癖」の影響を受けやすい競技です。
特に経験者と未経験者が組んだ場合、未経験者は経験者の癖の影響をダイレクトに受けます。
藤田は途中でカップルが変わっているので、それに合わせてラテンに転向したのかもしれませんね。
会場の端で鹿高競技ダンス部は円陣を組んで今日の目標を順に言っていきます。
二年生スタンダード井草・高林組は「準決勝進出」
一年生スタンダード河合・神原組、大内・伊藤組は「一次予選突破」
御門は「ラテンで優勝 スタンダードでも優勝!」と言いつつ、朝木のデビュー戦であるから踊りやすいようにリードすると宣言します。
土屋は朝木に「みんなも同じ舞台(フロア)にいるからさ 不安分け合っていこう!」と言います。
土屋の忌憚ない激励はまっすぐに朝木に届いたようです。
言い切った感のある土屋に藤田が「部長組の目標はー?」と問います。
悩む土屋に「最後くらいどーんといきなよ!万年予選止まりなんだから!」と笑う藤田。
小さい大会では決勝までいったことあるものの、大きな大会では予選どまりのようです。
いくらマイナー競技といえ、上位者には小さいころからダンスをしていたという経験者が少なくないのが競技ダンスです。
競技ダンスはしたことがなかったとしても、バレエ経験者などそのほかのダンス経験者が多く、点数化した時に初心者が見劣ってしまうことは多々あります。
土屋・亘理組は、最後まで等身大の高校生でしたね。
集合がかかってそれぞれフロアへ向かう中、亘理は朝木に初めての競技会でフロアで泣いてしまったと話します。
そして【その時私も いろんな人に助けてもらったんだよ】とも。
【先輩たちや 先生たち… でも一番はこのひと】と隣に立つ土屋を思います。
歓声を受けながらフロアへ出ていく御木・ターニャ組、宮大工・柏組。
その裏で、亘理は「土屋君…ってさ」と自分のパートナーのことを考えていました。
たまたま同じ部活に興味を持って、たまたま同じ部活のメンバーになって、たまたま自分のカップルになった人のことを。
【優しいひと 困っている人をほっとかないで手をさしのべてくれるひと】
【誠実なひと あの時の…そばにいて支えてくれるって約束を守ってくれたひと】
突然自分の名を呼ばれて「何?何?」と言う土屋に、亘理は色々な思いを抱えながら、「ううん」と微笑みました。
競技ダンスマニアの玄人おじさんは土屋・亘理組を見て「いい踊り手になったと思うよホントに…!」と評します。
何よりもうれしい評価なのではないでしょうか。
巨勢もうれしそうです。
【色んな思いがあるけれど 伝えたいのはやっぱりシンプルなこの言葉】
【あの時誘ってくれて あの時助けてくれて あの時 あの時】
思い出されるのはカップルとして乗り越えてきたたくさんの困難。
それらを噛みしめて最後の競技会、土屋と亘理は手を合わせて告げました。
「ありがとう」
背筋をピン!とは打ち切り?
これで、背すじをピン!と〜鹿高競技ダンス部へようこそ!〜は連載終了となります。
競技ダンス経験者としては少し残念ですが、やはり今の若年層に競技ダンスはウケないんですかね……
結局ブラック・プールの結果や八巻組のリベンジは描かれずじまいでした。
土屋の最後の競技会の結果も。
それでも、今まで高齢者の趣味としての楽しみであったりお高いイメージのあった競技ダンスが一般に周知されるよい機会となった作品だと思います。
作者である権平ひつじ先生の新連載「ポロの留学記」は次号より連載開始です!
こちらを楽しみにしましょう!