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血の轍の4巻のネタバレ感想。5巻の予想。臭いものにはフタをする

血の轍の4巻のネタバレ感想。5巻の予想。臭いものにはフタをする

我が子の首を絞める母、実に母に首を絞められる子。

まさに静子と静一の親子の関係がそれでした。

自分の息子の首を絞めるなんて「親」には絶対に出来ない事。

それをやってしまう静子は「薄情」なのでしょうか。

とんでもない。静子の静一に対する愛情はもう「執着」、それも「狂気の執着」。

この「狂気の執着」の毒牙にかかった静一も狂い始めていくのでした。

4巻の始まりは、静子に首を絞めらてからひと月が経ったところから。

静一は「吃音」が治らず、学校生活でも苦労します。

ただ不思議な事に静一の「吃音」に気が付く人がほとんど居ないのです。

静子は静一の「吃音」に無関心。

無関心どころか「吃音」になっている事実を無かった事にしている。

それが静子の性格の「恐ろしさ」、そう思わずにはいられません。

友人達からは声が出ない事をからかわれます。

声の事ならまだ静一も我慢出来ました。

しかし、友人達は夏休みに静子と静一が長崎屋に行った事をからかいます。

「中二にもなって母親と出かけるなんて」

この言葉に静一は豹変します。

怒りから教卓を蹴り飛ばし、穴を開けてしまいます。

この親子のとって、「過保護」はNGワード。

いとこのシゲルくんの事が思い出されます。

この「シゲル」くんの時の「過保護」事件で静子の狂気がはっきりと覚醒されたと私は思います。

教卓に穴を開けてしまい、当然先生からきつく叱られる静一。

挙句の果てに、この事を「親に言う」と言われ、落胆します。

呆然としながら帰路に向かう静一。

途中、見晴らしの良いベンチを見つけ腰掛けます。

すると...静一の背後に...「吹石」登場!

静子じゃなくて本当に良かった!!

吹石はずーっと静一を見守ってきたのです。

当然、この所の静一の様子にも気が付いており心配していました。

静一の隣の座り、落ち込んでいる静一をさりげなく励ます吹石。

吹石は自分の父親とよくケンカするのだとか。

頭にくるよねとか。

そんなときはモノに当たるよねとか。

すると、静一が「嬉しかった。手紙貰えて嬉しかった」と言うのでした。

吹石の前では吃音にならず言葉が出てくる静一。

静一と吹石は「お付き合い」することを見晴らしの良いベンチの座りながら誓い合うのでした。

家に帰ると「帰りが遅い」と心配していた静子。

そして、「いい匂いがする」と言って静一の顔に手を近づけると静一は咄嗟に静子の手を払いのけてしまいます。

その深夜、静子は静一の部屋にこっそり入ってきます。

静一は「寝たふり」します。

静一の頭を撫でながら「こんな母親でごめんね」と泣きじゃくる静子...分かってんるんだ!!「こんな親」ってのが。

翌朝は何事もなかったように優しい笑顔の静子。

珍しくサンドイッチを朝食に作り、父の一郎も何気に嬉しそう。

この静子の「ご機嫌」が怖くてたまらのは静一と読者だけ。

次の日も静一と吹石は見晴らしの良いベンチの座り、語り合います。

そして吹石は静一に甘えて「頭を撫でてほしい」とせがみます。

緊迫する本作の中で実に甘酸っぱい気持ちになれる一場面。

最大の幸せの後には最大の恐怖が待っている...そんな予感が漂っています。

「見たわよ」

2人の背後から「見たわよ」という声。

静一は振り向かずとも、その声の主が分かっています。読者も分かってます!!

吹石の手を取り逃げ込む静一。

「せいちゃん!せいちゃん!」と狂ったように、そして怒りながら静一を探す「静子」がそこにいました。

静子の様子に苦しんでいる静一。

その静一の耳を塞いで「聞いちゃだめ」と助ける吹石。

静子が静一を苦しめているとこの時に吹石は悟ったのでしょう。

静子の執念で野原に隠れていた静一と吹石は見つかってしまいます。

「離れなさい!!」

と泣きながら言う静子。

そして、吹石の姿を見て手を挙げようとします。

あっちへ行け!おまえなんかいらない!と静子に言い放ち吹石をかばう様に立ちはだかる静一。

決定的な静子への反抗。

静子は自分の中指の爪を歯で噛みます、いや噛み切るのです。

爪は割れ血が溢れ出し、静子の顔は涙とよだれと鼻水と血でグチャグチャになります。

それなのに...笑顔の静子。

なぜか笑顔のまま、二人の前から去っていくのでした。

その様子を見て、吹石は静子の恐怖心と異常性を見出します。

怖い、あのお母さんは怖い、逃げようと言う吹石。

「母親がいなくても大丈夫」と吹石はいいます。

吹石は両親が離婚して父親と祖母と暮らしているのです。

私もお母さんが居ないことに慣れた。

だから、静一もお母さんが居なくても大丈夫だよと言うのでした。

こうして静一と吹石は静子の手から逃れ、吹石の家にお泊りするのでした。

4巻の感想はやはり静一の静子に対する反抗と吹石との関係ですよね。

吹石は、やっと振り向いてくれた静一にそれこそ強い母性にも似た愛情を注ぎます。

静子は静一に吹石の「匂い」を勘づきましたよね。

犬並みの嗅覚が恐ろしい。

静一と吹石。

仲良くなってほしいと思う反面、吹石の静一に対する強い愛情がどこか「静子」にも似通っているようで不安になるのは

私だけでしょうか。

そして、いつも思うのが父親である一郎の存在感の薄さ。

静子の中にも静一の中にも一郎は存在してないのかなとさえ思います。

しかし、その存在感の薄さを作っているのは一郎自身。

静子と静一の中に入ってこようとしない。

感情があるんだろうか、この男は。

「臭いものにはフタをする」的に静子と静一の事を見て見ぬ振りしてるとしたら一郎も静子と違った意味で狂気的な人かな

と思います。

血の轍の5巻の予想。

5巻の予想としては、「静子VS吹石」になるのかな。

もうね、吹石は静子に命を狙われてると覚悟した方が良い!

そして静一自身も。

何かで読んだことがあるのですが「愛する我が子が誰かに殺されるくらいなら私が殺す」という母親がいましたっけ。

「殺してあげる」のが愛情だとその母親は信じて疑わない。

静一の首を絞めた事もある静子。

静子が静一の命を狙うという展開も十分あり得ると思います。

そして、吹石の静一に対する想いが「静子化」しないでほしい!

予想じゃなくて願望ですが。

これだけは言えることですが、はっきりとした静一の反抗に遭い、静子の精神は底の底まで落ち込み壊れたはず。

とにかく、5巻は今までの中で一番大きな出来事、それも多分悲劇が起きるのではないでしょうか。